オランダ逍遥

いい歳してオランダへ花留学。 そんな男の日記です。

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生産農家が、サプライチェーンの枠を越えて消費者に直接プロモーション活動を行うのは非常に難しいんです。オランダ花き協会のマーケティング活動が、必ずしもその生産農家の育てている品種をとりあげてくれるとは限りませんし。

僕がお世話になっているペーター氏も参加しているJustchrys.comは、キクの生産農家が集まって独自のプロモーション活動を行っているものです。が、上のような、こんな色っぽい意味深な写真が多いです。参加しているキクの生産農家の間でも賛否両論みたいですが、インパクトはありますね。

日本語での説明がないのですが、みるだけでも楽しいサイトです。Justchrys.com
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レインボーローズ生産者のペーター氏は、菊の生産者でもあります。
彼の最近の最大の関心事はエネルギー価格です。

僕が働いていた菊のグリーンハウス(彼は菊のグリーンハウスを3つ持っているのですが)は、最大1メガワットの電力を出力するガスタービンで自家発電しています。そのため、天然ガスを買って、余った電力を売る/足りない電力を買う必要があります。

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電力・天然ガスの先物市場(厳密に言うと、相対取引なので先渡市場なのですが)と現物市場の動向を睨みながら、ヘッジ取引を行っています。

2010年の限月の先物市場価格をチェックしているところです。

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電力の現物市場の値動きです。

分刻みで値段が変動しており、グリーンハウスでの毎分の電力使用量に対して、支払い価格が決まっていきます。

画面でみると、メガワットあたり200ユーロ近い価格が、3分後には40ユーロと5分の1の価格になって、またその2分後には160ユーロにまで上昇しています。僕は銀行員時代に金利先物取引ディーラーをやっていたのですが、電力の市場がこんなに激しい値動きのマーケットだとは正直、想像していなかったです。

「1日5、6時間、ずっと電力の売買をやっている日もあるんだよ。」
もう生産者というより、商品ディーラーですね。

このままエネルギー価格の上昇が続けば、ビジネスをやめてしまう花き生産業者が増えるだろうと予想する彼に、生き残れる自信はあるの?と聞いたところ、

「自信が無くなったら、菊のグリーンハウスは全て売りに出すよ。」

エネルギー価格の高騰が早く沈静化するといいのですが。
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収穫後のバラが作業室に運ばれて来ます。

因みに、全て識別番号がついていて、誰が何本収穫しているか、誰の収穫したバラが「収穫が早過ぎ」「収穫が遅過ぎ」であるかというような情報がリアルタイムで見られます。

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その、収穫が早過ぎ/遅過ぎをみるための機械がこれです。1本毎カメラでスキャンされるバラ。スキャン後、コンピューターが色の具合、つぼみの開き具合等を判断します。

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いくらコンピューターが優れているといっても、害虫、病気の有無、最終的な品質等級は人間が判断します。

でも内部の規則により、この仕事は集中力が必要なため、2時間以上続けて行ってはいけないことになっています。人間と機械の大きな違いですね。

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コンピューターと人間の判定により、バラは質・長さによって10レベルに分けられて出荷されます。花束を20本毎にまとめる機械です。一切人間の作業は不要です。



オランダでバラを生産する農家は200人位いるのですが、この最新のシステムを使用している農家はわずか8人しかいないそうです。

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最終的な出荷段階で、どうやってその10レベルを見分けるんだろうと思っていたら、答えは簡単。花束を縛る紐の色が異なっていて、それを見ればすぐわかるようになっています。

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ベルトコンベアで運ばれた花束は、プラスチックのスリーブで自動的にパッケージングされます。



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最後は人間の手で微調整です。スリーブをきれいに被せて、茎を切り揃えた後、水の入ったバケツ(質を保存するために、硝酸アルミニウムが溶けた水です)に詰めていきます。

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バケツはトローリーの上にきれいに並べられ、夜、ロジスティクス会社が出荷のために取りに来るまでは摂氏2度に保たれた冷蔵室に入れられます。

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1日3万本から4万本収穫されるバラに対して、この一連の作業を機械でやらないとすると、どれだけの人手が必要なんだろうと思って聞いてみると、「さあねえ。でも、バラの生産がケニヤやエチオピアなんかの労働賃金がタダみたいなところでしか、もうできないってことがわかるだろ?」と言われました。

3.5haのグリーンハウスで、年1千万本バラを出荷している農園なのですが、実はあまり儲かっていません。これだけのシステムを動かす訳ですから、燃料価格の高騰(自家発電用の天然ガス)が収益に大きく響いており、このまま燃料価格が上昇すれば、来年度は赤字になってしまうだろうと、もうお手上げだよ、という状況です。

オランダの花き園芸業は、非常に高い労働コストと、ここに来ての燃料価格の高騰、さらにアフリカ等からの安い花きの輸入増加によって、倒産する農園が相次いでおり、一方では資金力のある農園がその農園を買い取って規模のメリットを狙い、6haから8haもの巨大なグリーンハウスをつくっています(因みに、日本(関東圏)で、バラのグリーンハウスの平均的な大きさは、0.3haくらいと聞いています)。
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前に一度紹介したのですが、最先端の設備を持つバラ農場で働いて来ました。

リンク:動くバラ農場



オランダ南部、Nieuwaalという田舎町にある3.5haのグリーンハウスです。
スタッフはハウス内を自転車、またはバイクで移動しています。

ロックウール培地で育てられているバラ。全てAdvanceという品種(アバランチェの改良品種)です。ロックウールは移動可能な長さ6m位のテーブルにセットされています。そのテーブルが約4,000個。1日の収穫は3万本から4万本で、1年では約1千万本の収穫があります。

通常のバラ農園だと5.0ha必要な生産量なのですが、最新の設備のおかげでそれだけの生産が可能になっています。

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まずは、pruizen(日本語で芽かき?)から教わります。
枝分かれした若いシュート(上の写真で、花芽の右の赤いやつ)を摘んでいきます。



テーブルがどんどん移動するので大変です。一番遅いスピードにしてもらったんですが、とても追いつきません。「はじめてなんだから仕方ないよ。」となぐさめてもらいながら、ベテランのスタッフに手伝ってもらいます。

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おもしろいなと思ったのは、上の写真の装置。ノズルの付いた四角い枠。
農薬の散布装置です。移動するテーブルが、この枠内をくぐる際に、農薬のシャワーを浴びせるという仕組みです。

考えてみれば、こちらから散布しに行かなくてもバラが移動してきてくれるのだから、効率がいいですよね。

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続いて教わったのはカッティング(収穫)。
収穫に適したステージ(バラの開花段階)を教わっているところです。



実際の収穫の様子はこんな感じです。
休む間もなく新しいテーブルがやってきて、収穫し続けます。「機械に働かされている」感じがしますね。

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なぜか動物がたくさんいるグリーンハウスです。
野良猫のくせに、近づいて写真を撮っても全然余裕。貫禄充分です。
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今日ははじめてレインボーローズ (Happy rose)をつくっている工場の中に入れてもらいました。ふふーん。なるほど。でも企業秘密なので、つくっているところの写真は載せませんよ。

人のブログで、レインボーローズに対する厳しい評価を目にすることがあります。曰く、自然への冒涜だ、人工なものより自然が一番だ、等々。人の好みはいろいろあっていいと思うので、否定はしませんよ。

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菊の生産農家でしばらく働いて、最近花に対する考え方が変わってきたような気がします。

切花だって工業製品と同じじゃないの?

同じ製品、同じ規格、同じ品質の菊の大量生産。
在庫をもてないっていう以外は、工業製品と同じじゃないかっていう気がしてきたんです。

そんな切花をもって「自然の美」を論じるのって、どうなのよ、と。

青いバラを開発するのに、バラとデルフィニウムの遺伝子を組み合わせるのは自然なのか。生産段階で、土壌のpHを調節して色を意図的に変えているお店のアジサイは、加工したものじゃないのか。

判断基準は、「好き/嫌い」だけでいいんじゃないかって思うんです。

野に咲く花がはたして自然なものなのか?外来種であっても。
自然のチューリップが好きだって言うなら、アフガニスタンのパミール高原に咲くチューリップの原種(チューリップの原産はトルコじゃないですよ)を見たことがあるんですかと聞いてみたくなりますね(僕も見たことはないですが)。
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